よんなー、よんなー
ゆっくりー、ゆっくりー
私にとってとても大切なことば
“よんなーよんなー”
これは沖縄のことば(うちなーぐち)で
「ゆっくり、のんびり」という意味を持ちます。
たとえば、焦って事を成そうとする人がいれば
”焦らなくていいよ〜、マイペースでね〜”
という想いを込めて、「よんなーよんなー」と声をかけるといいます。
Yonna Yonnaはこの言葉からいただきました。
30代前半
情報や物質に溢れ、効率重視の社会の中で、刻々と過ぎゆく日々を淡々と生きる毎日
これからも流れに乗って生きていくことはもちろんできるけれど、このままでいいの?と
小さな違和感を抱きつつ、過ごしていました。
それから数年、大きな転機となったのは父が闘病の末亡くなったこと。
父の生き様、死に様を目の当たりにし、見て見ぬふりをしていた私の中の小さな違和感は、もはや見過ごすことができなくなっていました。
「一度立ち止まって、地に足をつけてちゃんと”生き始め”たい。」という想いが大きく膨らみ、
2018年勤め人を辞めることを決意、時間に縛られる日々を手放すことにしました。
そんなときに出会ったのがこの言葉。
”よんなー、よんなー=ゆっくり、のんびり〜”
生き急ぐのではなく、自分のペースで生きる
それはつまり自分を大切にするということ。
余白とゆとりを持って生きる
そうすると人にもやさしくなれる
これは平和につながる言葉だなと気づいたときにうれしくなりました。
今でも日常を生きていると焦ってしまうことはたくさんあるけれど、
よんなーよんなーを心に刻み、
季節の移ろいを
自然を愛でる瞬間を
人と共にする時を
一人でものづくりをする時間を
全ての時を
一瞬一瞬をじっくり味わおう
そんな想いで日々暮らし、活動しています。
これからもゆっくり、のんびりではありますが、自分らしさを忘れず、皆様とともに素敵な時間を共有できるよう精進してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
Yonna Yonna 鈴木 麻友香
南米パラグアイ生まれの伝統工芸。現地先住民グアラニー族の言葉で「クモの巣」を意味する色彩豊かなレース刺繍です。クモの巣のように縦糸の土台を張り、そこに【織り】と【結び】2種類のシンプルな技法をつかって模様を編んでいきます。伝統的な模様は350種以上あるとされていて、そのひとつひとつに名前がついている世界的にも珍しい手芸です。モチーフの多くはお花や昆虫、鳥、動物など、命をテーマにされていて、そのほかにも水差しや果物かごなど人々の暮らしに根差したもの、”でべそ”や”まゆげ”など人の体の一部をモチーフに表したものなど多種多様です。
ニャンドゥティの用途はおもに衣装や装飾品として用いられることが多く、とりわけニャンドゥティのドレスはその艶やかさが目を惹きます。日本でいう振袖のような役割を担っていて、15歳で迎える成人の日や結婚式のほか、お祭りやパラグアイハープ・アルパの演奏時に着用します。近年ではアクセサリーやバッグなどのファッション性の高いものから、カーテンやテーブルクロスなどインテリア雑貨としても幅広く使われるようになっています。
ニャンドゥティはもともとテネリフェレース(別名ソルレース=太陽のレース)というレース編みを起源としています。テネリフェは、大西洋に浮かぶスペインのカナリア諸島の島で、アフリカ大陸のモロッコに面しています。テネリフェレースは、この地で長く女性たちの手によって生み出されてきた白や生成りの美しいレースです。16〜17世紀にかけてパラグアイにやってきたスペイン人はキリスト教の布教活動を盛んに行うとともに、ヨーロッパの文化や芸術も一緒に伝えました。その中にテネリフェレースも含まれていました。これがパラグアイの自然や風土,先住民の文化と融合し、さらに鮮やかな色彩が加わって、ニャンドゥティという独自のレース刺繍へと発展を遂げていきました。
①ニャンドゥティ専用の木枠に布を張る
太鼓の皮のようにパンパンに張るのがポイント
②コンパスなどを使って、下絵を描く
③刺繍のように針を刺して、土台の糸を張る
④【織り】と【結び】で土台糸の上に模様を編んでいく
⑤裏の布を丸くカットする
⑥糊付けをして天日干し
⑦ニャンドゥティ本体を布から切り出す
周りの糸ギリギリのところにハサミを入れるのがポイント
⑧布を剥がす
⑨完成
ニャンドゥティや刺繍をするうえで欠かせないのが、糸
色とりどりの糸を眺めているだけで心は踊り、癒しを感じます。
私は糸が大好きです。
そもそも糸とは、”繊維を長く引き揃えて撚りをかけたもの”のことを言い、
繊維の種類により、「天然繊維」と「化学繊維」に大別されます。
天然繊維は綿や麻、羊毛など動植物を素材とし、化学繊維はポリエステルやナイロンなどから作られています。
それぞれの素材によって糸の質感は異なり、作品に大きく反映されます。
糸をつかってものづくりをする者にとって、糸選びはつくり手自身の個性が発揮されるところです。
私が好んでつかうのは、植物由来のやさしい質感のコットンやヘンプ、リネンの糸。
特にリネン糸はYonna Yonnaの作品づくりに欠かすことのできない大切なものです。
太さは均質ではなく、少しごわごわ、シャリっとしていて扱いづらい素材なのですが、独特の風合いとダイナミックな動きが魅力的、凛とした表情を見せてくれます。
また最近では、天然灰汁発酵建ての藍染め工房を訪れて自ら糸を染め、その糸で作品づくりをしています。
昔ながらの伝統的な藍染めは人にも地球にも優しく、愛に溢れる染色法。この方法で染めた糸は艶やかで洗練された青色を醸してくれます。
日本の藍染めとパラグアイのニャンドゥティ。それらを織り交ぜて、唯一無二の作品づくりをできることに、このうえない感謝と喜びを感じています。
今後もひとつひとつの素材に真摯に向き合い、素材そのものの良さを引き出せるよう、シンプルなものづくりを心がけていきたいと思います。
鈴木 麻友香 Mayuka Suzuki
2018年7月ニャンドゥティを始める。
2019年春より、Yonna Yonnaの屋号でつくり手として活動開始。
おもに綿や麻などの天然素材をつかって、地球の大地、空、海、植物など自然をイメージした色のシンプルでナチュラル、かつ人にも地球にも優しいものづくりしています。
最近では草木染めや昔ながらの天然灰汁発酵建ての藍染め糸を用いたアクセサリーのほか、インド刺繍のミラーワークとニャンドゥティの技法を組み合わせたオリジナル作品などを多数制作。
代表作:藍染めニャンドゥティ、麻deニャンドゥティ、ミランドゥティ
また2022年秋より、ニャンドゥティの楽しさを伝える活動を開始しました。ニャンドゥティを通してたくさんの方と”つくる”楽しさを共有したいと考えています。
生きるモットー、よんなーよんなー
臨床検査技師/細胞検査士として顕微鏡で細胞の世界を覗く仕事を週の半分、ミクロの世界と現実世界を行ったりきたり、異色のつくり手兼ニャンドゥティ伝え人
ニャンドゥティのほか、刺繍や畑活動、数秘術など。
日々楽しいことをして暮らしています。